◆渡邊渚「1番嫌なところを永遠に何度も何度も話す」PTSD治療の苦しみ

― トラウマをどのように克服していったか、10数回のカウンセリングについてかなり詳細な手順も書かれていました。1番辛かった課題は何でしょうか?

渡邊:持続エクスポージャー療法の中に、現実エクスポージャー(回避している状況や対象に向き合うもの)と想像エクスポージャー(トラウマ記憶について当時の感情を思い出しながら話すもの)というのがあって、想像エクスポージャーの方が大変でした。トラウマになった出来事が起こった時に立ち返って、カウンセラーさんに引き出してもらいながら、目をつぶって話すんです。「どういう順序で何が起こって、その時自分がどう思って」という感情への理解を深めていくのですが、自分の中では、貼り付けていたかさぶたを1回剥がして消毒し直すみたいな感覚ですごく痛いし、自分からしたら口にも出したくないトラウマのことを、わざわざ人に自分の口で音にして発しなければいけないのが最初は辛かったです。