東京―大阪間は何km?

 みなさんは、たとえば「東京〜大阪間の距離」を即答することができますか? これ、先に答えを言ってしまうと「400km」です。ただし直線距離としてです。

 車で旅行に出かけるときなど、参考にするとよいでしょう。時速60kmでおおよそ7時間ほぼ休憩なしでいける距離(60×7=420km)になりますから、1日で移動できる距離としては限界に近いのではないでしょうか。なお新幹線で行くと東京駅から大阪駅までの距離は552.6km。直線ではないため大幅に増加します。

 でも、こんな数字覚えて何になるの? と思うかもしれませんね。実はこれが、数字に強い人とそうでない人の差なのです。

 たとえば、さっきの「400km」ですが、これ、長いですか?短いですか?

 なんとなく「長い」と感じる人は多いかもしれませんが、数字に強い人の考え方はこうです。

フルマラソン42.195kmと比べると長い。
地球1周の40,000kmと比べると短い。
 そう、何とくらべるかによって、数の大きい・小さいは変わるのです。

 これは、数字全般について言えることです。数字の「大きい」「小さい」を考えるためには、くらべるための基準が必要です。本書では、これを「キーナンバー」と呼びます。

 数字に強い人は、ただ計算が早いだけの人ではありません。数字の意味をよく理解している人です。「400km」という数字を見た時に、ただなんとなく「長いなぁ」と思うのではなく、上記のように比較対象を使って、数字の意味を実感するのです。

 たとえば1000万円と言う数字も、「高級車1台分」などと考えたり、「家賃8万円の家に10年住んだときの総額くらい」などと考えると少しわかりやすくなりませんか?

 こうして、算数が苦手だった人でも、数字の意味を身近なイメージに近づけるだけで数字に強くなることができるのです。