しかし、そんなスキを受刑者が見逃すはずはない。川原さんがここぞとばかりに声をあげた。「あっつーーい!!ちょっと休憩しようよ。」

普段なら絶対に敬語である彼女たち。しかし監視がいない今、素を出してきた。「ねえねえ。○○君って、何歳?」隅に立て掛けてある畳まれたダンボールを床に敷き、横座りになりながら、俺に聞いてきた。

てか君づけかよ。まあ確かに年下かもだけど。「29歳です。」俺は敬語だ。正直ビビっている。相手は海千山千の裏社会を生きてきた女だ。

「やったー!!わたしの勝ちだあー!」なんのこっちゃ?「あのね、みんなで賭けてたんだ。○○君が何歳かって。で、私が一番近かったの。」なんだそういうことか。しかも刑務所で賭けって。懲りない女どもだ。

「やったー、日曜のコーヒーゼリーあたしのだ。ウフフ。」そうか。食い物を掛け金がわりにするのか。そういや受刑者にとって一番の関心事は飯だそうだ。今日の昼飯が何で、夜が何で、日曜のデザートが何、と彼女たちはそれを楽しみに生きている。いつのまにか倉庫の入り口にさっき消えた受刑者が戻っていて、さりげなく工場と倉庫を見渡せる位置にいる。なるほど。看守が動いたら即合図を送るわけだな。

「ねえねえ、そんでさあ、○○君って最後にオナニーしたのいつ?」キャハハハっ、と笑い転げる川原さん。俺はもう完全に真っ赤っ赤だ。

「は?いや、その・・・」「なに?なに言ってんのかわかんないよ。ねえ、やっぱ童貞だよね。」この一言はこたえた。

確かに29歳にして童貞(素人童貞)だったが、俺としては女の前でそんなことを曝け出されるのは、あまりにも恥ずかしすぎた。「なにぃ?傷ついたの?ごめんねぇ。」黙ってしまった俺をみて彼女は半笑いで謝ってきた。

「いや、いいけど。別に。ホントのことだし。」「なんだ、やっぱ童貞なんだ。彼女つくんないの?」「作らないというか、作れないというか・・・」

「ふーん。正直なやつ。」ふいに真顔になった彼女が俺に命令した。そう。命令だ。

有無を言わせぬ迫力があった。ぬるい世界を生きてきた俺に、反抗する度胸などない。「ちょっとチンチン出してみなよ。あんたさっきから立ちっぱなしでしょ。ほら、早く。」

操り人形のように、俺は彼女の言葉に従う。ベルトをはずし、ジッパーを下げる。立小便する時のようにチャックの間からペニスだけ出そうかとも思ったが、童貞がばれた今、そんなみみっちいことをする意味はない。俺はズボンとパンツを一気に太ももまで下げた。

「けっこういいもの持ってんじゃん。かわいいよ。」赤い舌を出してこれみよがしに上唇をなぞってみせる。メスだった。「来なよ。」

横座りの彼女に向かって、これから起こることへの期待で充血しきった一物を丸出しにしたまま、俺は近づく。「立ってなよ。」静脈が透けて見えるほどきめの細かい白く長い指を袋に絡ませる。やわやわと撫でさすり、もう一方の手を尻に回し、やさしくゆっくりと尻全体を撫で回しはじめた。

尻に回した手はやがて肛門へと至り、そのままアナルをゆっくりともみほぐす。袋をもんでいたいた手を一端はなし、受刑服のボタンを外し始める。三つ外した。

「いいよ。触っても。」手を伸ばす。ブラを力任せに下へ押し下げた。重力に反したような形の、そのやわらくて気持ちのいいやつは、俺の両手を性器と化した。