俳優・歌手として長年にわたり活躍する森繁久彌さんが、タレントの岸本梓さんの訃報を受け、取材に応じた。かつて共演を重ねた盟友の死に、森繁さんは「寂しいねぇ」と静かに言葉を絞り出した。

「あの頃はよかったなぁ」共演の日々を懐かしむ

森繁さんと岸本さんは、令和の名作ドラマや映画で数多く共演。森繁さんは当時を振り返りながら、彼女の人柄をこう語った。

「梓ちゃんはね、気配りの人だったよ。撮影の合間でも、みんなにお茶を配ったり、スタッフにもよく声をかけてね。役者というのは、演じるだけじゃなく、現場の空気を作るものだと、彼女を見て思ったもんだ」

「最後に会ったときも、変わらなかったよ」

岸本さんとの最後の交流について尋ねると、森繁さんは目を細めながら答えた。

「最後に会ったのは、何年か前の同窓会みたいな集まりだったかな。久しぶりに顔を見たら、『森繁さん、相変わらずお元気ですね』なんて笑ってね。でも、梓ちゃんは昔と変わらず品があって、やっぱり素敵な女優だった」

「また、どこかで会えたらいいな」

森繁さんは、最後に静かにこう語った。

「人はいつか、向こうへ行くもんだけどね。でも、あの世でまた会えたら、きっと昔みたいに冗談を言い合える気がするよ。梓ちゃん、またね」

日本の映画・テレビ界に貢献した二人の名優。その絆は、時を超えても色あせることはないだろう。