「『心の国』日本と『物の国』英国!」内外出版印刷 新庄楓亭 1938

現在世界の國際政局が日一日と険悪化し、この危局の鬱積連続は、何時果つべくとも考えられず、
世界の真の平和の如き、全く地上の事柄でないように感ぜらるるに到ったのは、抑も何に帰因するか。
不義邪悪の世界的横行である。
国際政治道徳の極端なる頽廃堕落である。

英國は大戦以後独自独個の力を以てしては到底従来の如き世界的指導力を専らにするを得ざるのみならず、
自己の既存勢力範囲も充分に確保し難きに至らんことを危惧し、
所謂国際連盟に依る集団的安全保障体制を形ち造り、世界の現状維持を攪乱するものは
即ち世界の平和を棄すものなりとの自分勝手なモットーの下に、
現状維持の利害の共通なる米國を始め仏ソ等と協同の態勢を張り汲々として
自己頽勢の挽回に必死の努力を払ってをるのである。