キエフ近郊でも、首都の北東約二十数キロの空港をめぐって戦闘が起きた。ウクライナ当局は一時、空港をロシア軍が制圧したことを認めたが、その後、反撃に転じ、激しい交戦となった模様だ。
市内でも現地時間25日午前4時20分ごろ、大きな爆発音が2度あった。ゲラシチェンコ内務相顧問は「敵の航空機か無人攻撃機が、ウクライナ軍のミサイル防衛システムで撃墜された」とした。

 内務省によると、北部のベラルーシ国境から侵攻したロシア軍は、1986年に爆発事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所を掌握した。職員が人質にとられたとの米政府情報もある。ロシア
国防省も支配下にあることを認めた。AP通信は当局者の話として、同原発で通常より高い放射線量を検知したと伝えた。

 またロシア軍は、2014年に一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島から、隣接するヘルソン州に侵攻。内務省によると、港湾都市オデッサ南西の黒海にあるウクライナ領の島をロシア軍
艦船が砲撃。降伏を呼びかけられたウクライナの国境警備隊が抵抗し、兵士13人が死亡した。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は25日未明に演説し、侵攻開始以来、ウクライナ側で兵士と市民で計137人が死亡、316人が負傷したと説明。全予備兵、徴兵対象者を招集し、交通手段の徴
用を可能にする総動員令に署名した。その後の演説では、ロシアが市街地を含めた無差別攻撃をしているとし、諸外国の対ロシア制裁が不十分だと指摘。ロシアに対し、軍事行動を早期に終了
させるための協議の席につくよう求めた。