コスモHD、旧村上ファンド系が筆頭株主に 5.81%保有
UAE系が3月に売却、再編の思惑も


コスモエネルギーホールディングスの実質的な筆頭株主に、村上世彰氏が関わる投資会社がなったことが、5日わかった。コスモHDは3月にこれまで筆頭株主だったアラブ首長国連邦(UAE)の政府系ファンドが保有株を売却していた。村上氏系は富士石油でも筆頭株主になっており、石油元売りの業界再編につながる可能性がある。

アクティビスト(物言う株主)として知られる村上氏が率いる投資会社シティインデックスイレブンス(東京・渋谷)が同日、関東財務局に提出した大量保有報告書で明らかになった。共同保有者と合わせて5.81%を取得、「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」を目的としている。

シティインデックスは3月29日までに株式市場でコスモHD株を約438万株(発行済み株式の5.14%)を取得した。村上氏の長女、野村絢氏も新株予約権付社債(転換社債=CB)を約57万株分取得した。コスモHDは「個別の株主についてはコメントを差し控える」としている。

コスモHDにはUAEのアブダビ首長国の政府系ファンドが2007年に出資し、一時期はムバダラ・インベストメントが2割超を保有する筆頭株主だった。同ファンドが非化石燃料の産業に投資を振り向ける方針に転換したことで、21年8月にはコスモHD株の約5%分を売却、22年3月には残る約16%分も売却すると発表していた。

村上氏側はムバダラが放出した株を市場で買い集めたとみられる。村上氏にはコスモHDの株式を大量に保有することで石油元売りの再編を主導したい狙いがあるとみられる。

シティインデックスは21年5月に石油精製専業の富士石油の株式5%を取得した。同年12月には約10%まで買い増し、筆頭株主になっている。

コスモHDは石油元売りでENEOSホールディングス、出光興産に次ぐ国内3位だ。2021年3月期の連結売上高は20年3月期比18%減の2兆2332億円、最終損益は859億円の黒字(20年3月期は281億円の赤字)だった。最近では洋上風力発電の開発に力を入れている。