パイレーツは5日(日本時間6日)、筒香嘉智外野手(30)をリリースしたことを発表した。3日(同4日)、にメジャー出場の前提となる40人枠から外れるDFAとなって、事実上の戦力外となり、ウェーバー公示にかけられたが、獲得の意思を示すメジャー球団はなかったようだ。

 今季がメジャー3年目だった筒香。昨年途中に加入したパイレーツで開幕を迎えると、4月7日(同8日)の開幕戦は「4番・一塁」でスタメン出場し、いきなりマルチ安打を放つ好発進を切った。開幕戦で4番に座るのは、日本人では2010年のエンゼルス・松井秀喜以来だった。

 だが、なかなか調子は上向かずに4月は17試合の出場で0本塁打、7打点、打率1割7分2厘。5月には2本塁打を放って復調の兆しを見せたが、同月下旬から腰部の筋肉損傷のため負傷者リスト(IL)入りして、戦列から離れた。マイナーでの出場などを経て、7月5日(同6日)からメジャーに復帰するも、7月も月間打率が1割5分8厘に終わって本塁打はなし。結局今季は、50試合で2本塁打、19打点、打率1割7分1厘と調子が上がらなかった。

 チームはここまで43勝62敗の借金19でナ・リーグ中地区3位。ワイルドカード争いまで14ゲーム差と苦しい戦いが続いている。2日(同3日)に期限を迎えたトレード市場でも、内野手のボーゲルバックはメッツ、先発左腕のキンタナはカージナルスへとトレード移籍。市場の“売り手”となり、来季以降を見据えて若手中心の戦いに切り替える局面を迎えていた。

 09年のドラフト1位で横浜高から横浜(現DeNA)入りした筒香。力強い打撃を武器に12年頃にレギュラーへ定着すると、16年には44本塁打、110打点で2冠王に輝いた。日本を代表するスラッガーに成長し、侍ジャパンの主砲として15年のプレミア12や、17年のWBCにも出場。NPB10年間でで205本塁打を放ち、19年オフにポスティングを行使してメジャー挑戦を決断した。

 複数球団の争奪戦の上でレイズ入り。「3番・三塁」で開幕スタメンをつかむと、コロナ禍で60試合に短縮シーズンではあったが、51試合に出場。チームはワールドシリーズに進出し、頂点まではあと1歩届かなかったが、大舞台も経験した。2年目の21年はレイズでスタートするも調子が上向かず、ドジャース、パイレーツと3球団を渡り歩いてマイナーでのプレーも経験。合計81試合に出場。8月途中からプレーしたパイレーツで8本塁打を放って、今季も同チームと契約を結んだ。複数年契約の打診もありながら、退路を断って単年契約で勝負したが、結果を残すことができず、チームを去ることになった。