「20本塁打クインテット」が誕生しているにもかかわらず、今季は優勝争いから脱落して借金生活に。苦戦の理由は何だろうか。首位を快走するヤクルトと比較すると、総本塁打数はヤクルト、巨人がリーグトップで同数の161。盗塁数もヤクルトが68に対し、巨人は63と大きく変わらない。だが、総得点でヤクルトがリーグトップの581に対し、巨人はリーグ3位の534と40点以上の差がある。

 両軍を取材するスポーツ紙の遊軍記者は、こう分析する。

「ヤクルトは日本記録の60本塁打超えを狙う四番・村上宗隆の存在が大きいのは間違いないですが、塩見泰隆、山崎晃大朗、山田哲人と上位を打つ3人を中心に足を絡めたり、小技やヒットエンドランを仕掛けるなど得点のバリエーションが多い。巨人は確かに破壊力がありますが、1点を取る野球に長けているわけではない。打ち出すと止まらないが、つながりを欠いて抑え込まれる試合が少なくない」

 07年は本塁打を打つ打者がそろっていただけでなく、チャンスメークする役者もそろっていた。一、二番は高橋由、谷佳知がチャンスメーク役を務め、下位打線には勝負強さが光ったデーモン・ホリンズ、状況に応じたしぶとい打撃ができる木村拓也、脇谷亮太が追い込まれてもファウルで粘り、相手投手に球数を投げさせるなど消耗させていた。個々の能力に頼るのではなく、文字どおり打線として機能していたためどこからでも得点が取れた。同年の692得点はリーグトップ。2位・中日の623得点に70点近くの差をつけた。