https://www.sankei.com/article/20160519-AK2KXLFJUZIZLF6IRHPBPVRVFI/

次の日の夕刻、作業員2人が山田家に臨場した。
だが、スペシャリストであるはずの2人の行動は、素人目にもどこかおかしかった。
かやぶきのどこに巣があるのか特定しないまま作業をスタートさせ、いきなり薬剤のスプレーを散布したのだという。

スプレー攻撃を受けたスズメバチは当然、逆襲を仕掛けてくる。どこからともなく飛来したハチにおびえたのか、2人は頭上のかやぶきの中に発煙装置をほうり込み、煙幕を張った。
これが災難の引き金となった。
散布したスプレーのガスが充満しているところに、発煙装置を投入したのだ。当たり前の帰結として、引火した。

ここで「火が付いてしまった」と正直に申告してくれれば、まだ良かったかもしれない。だが、作業員らは当時家にいた夫婦らに火災発生を知らせず、「水を使いたい」とだけ申し出たという。
自分たちだけで消火しようと試みたようだが、火はみるみるうちに広がっていく。そのうち、爆発音がとどろいた。
夫婦らもようやく火災に気づいたが、時すでに遅し。一緒にいた孫娘と命からがら、逃げ出すので精いっぱいだった。