2022年10月11日 06:15
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 DeNAの守護神・山崎康晃投手(30)が今オフ、メジャーへ挑戦する可能性が現実味を帯びてきた。今季史上最年少で通算200セーブの偉業を達成し、チームを2位躍進へと導いた守護神には、MLBの複数球団が注目。すでに球団側も山崎本人から将来的なメジャー挑戦の意向を伝えられており、さまざまなタイミングが合致した今オフにポスティングシステムによる移籍を容認するとみられている。

 チームは敗退を喫したが、CSの大舞台でも「さすが」の投球を見せつけた。10日のCSファイナルステージ第3戦(横浜)で山崎は1点ビハインドの9回からマウンドに立ち、三者凡退。これが国内では最後の姿になるかもしれない。

 試合後の山崎は「短期決戦で僕たちの力が及ばなかったですけど、今できる自分たちの最大限の力を発揮しての結果でした」とコメント。そして「負けてしまったことは悔しいですけど、この結果を糧にしてさらに成長したいです」とも述べ、冷静に前を見据えた。

 この日、横浜スタジアムのネット裏には、ドジャースなどMLB複数球団の極東スカウトらが集結。大きな目的は山崎の投球チェックだった。数年前から密着マークを続けているア・リーグ極東スカウトは、山崎について「独特のインステップ投法から繰り出されるスプリットはMLBでも十分に通用する。彼が『ツーシーム』と呼ぶスプリットは落差が大きく、ストレートと同じスピードで鋭く変化する。球の出どころも打者からは判別しにくく、あのボールは分かっていても攻略しにくい。しかも山崎にはプロ8シーズンの間、大きな故障がない。強いフィジカル面も大きな魅力だ」と高い評価。山崎の獲得にはMLBの「5~8球団」が強い関心を寄せているという。

 今季は56試合登板で0勝2敗、自己最高タイの37セーブ、そして自己最高となる防御率1・33とWHIP(投球イニングあたりの与四球と被安打の合計)0・6994をマーク。前出の関係者も「MLBでは投手の力量と安定性を図るセイバーメトリクスの指標としてWHIPが用いられるが、今年の山崎の数値は特に素晴らしい」と絶賛している。

 15年のプロ1年目から37セーブのNPB新人記録を作り、18、19年と2年連続セーブ王。20年に不振に陥って守護神の座を奪われたものの、肉体改造によってボールのキレを取り戻した今季はストッパーに返り咲き、8月に29歳10か月の史上最年少で史上8人目の通算200セーブに到達するなどの活躍をみせた。

 山崎は昨オフ、球団との契約交渉で国内FA権を行使せず年俸2億8000万円(推定)の単年契約でチームに残留。一方で球団側には19年オフの契約交渉時から将来的にタイミングが合えばメジャーへ挑戦したい希望を伝えている。球界関係者は「そのタイミングが今オフ」とし、次のように明かす。

「山崎は順調に行けば来年中に海外FA権を取得する。権利行使によるMLB移籍で〝実入りゼロ〟となるよりも、球団側にとっては今オフにポスティングを容認して獲得を希望するメジャー球団から億単位の譲渡金を受け取るほうがメリットが大きい」

 山崎自身も過去にMLB移籍に関し「年齢がいけばいくほど難しくなる。健康な状態のうちにというのもある」と語っていたことがある。球団と山崎の思惑はやはり「今オフ」で合致しそうだ。