51試合に登板した昨季は中継ぎとして47試合で2勝0敗5ホールド、防御率.3.31をマークしたが、先発としては0勝3敗、防御率7.53に終わった。このオフは楽天の則本昂大(32)に弟子入りし、「先発をやりたい思いもあって(自主トレに)参加させてもらった。先発として1年間、優勝の力になれるように頑張る」と意欲を燃やすと、女子レスリングのレジェンド・吉田沙保里氏(40)との会食後にも「2ケタ勝利を思い描いてプロ野球選手になった。絶対、その夢は叶えたい」と力を込めた。

 その吉田の先発転向に関しては、厳しい声があるのも事実だ。ライバル球団の関係者が言う。

「試合で使える変化球がフォークとスライダーしかないようでは、ひと回りを抑えるのが精一杯。先発をやりたいのであれば、カーブなどのカウントを稼げるボールの習得が不可欠でしょう。しかし、変化球の習得は一朝一夕にはいかない。中継ぎとしてはボールに勢いはありますけど、制球の安定感に欠ける。昨季も、緊迫した場面で投げた回数は少ない。中継ぎで結果を残した、とは言い難いと思いますね」

 チームの先発ローテは、開幕投手が内定している加藤を筆頭に、上沢、伊藤の3本柱に、ガント、ポンセの両助っ人を加えた5人が内定。吉田は残り1枠を高卒3年目左腕の根本らと争っている。

「新庄監督は今年、『優勝だけを狙う』といっている。昨年以上に選手を厳しく振るい分けるつもりです。輝星は昨年のキャンプで阪神OBの藤川球児氏から助言を貰い、シーズン中も相談に乗ってもらっていた。このオフも則本から、股関節の使い方を教わり、より重心を下げたフォームを試すなど、向上心が強い。実際、藤川氏から指導を受けたことで、直球の球威、キレが増すなど成長の兆しを見せている。なんでもかんでも詰め込み過ぎて起用貧乏になってしまっては元も子もないが、輝星も夏の甲子園を沸かせてから5年。今季から同級生が大卒新人として加わった。大事な分岐点を迎えていることは間違いありません」(球団OB)