―ここからは選手時代の話を聞かせてください。新人だった伊藤大海投手(25)がフェンスに背中をかけていた際、壁から離して『そういう投手になってはいけないよ』と声をかけたそうですね
 「ランニング中ですね。僕の考えを押しつけているわけではないんですけど。試合中にできないことは、練習中にしないという僕の中の自分ルールがありました。ベンチは別として、試合中に壁にもたれることはない。カバーリングに行って、ハアハアしていても立っていないといけない。膝に手をついて休むのも、打たれた時だけ。打たれた時の練習をする必要はない。もたれた方が、もしかしたら回復は早いかも知れない。でも、もたれないと回復できない体になるのが嫌なので、僕は絶対しませんでした。玉井(大翔)とか何人かの選手には言ってきました」

 ー練習中から意識することが大事
 「練習態度は誰が見ているか分からない。もし野手が見ていて、アイツ何しているんだ、と少しでも思ったら信頼関係が崩れるかもしれない。ちょっと恥ずかしい話なんですけど、僕は〝野球の神様〟がいると思っている。そうでないと、怠けてしまう自分がいる。〝野球の神様〟から見られているから、そう思ったら抜けないじゃないですか」

 ―伊藤のことを期待しているからこその助言
 「やってもらわないといけない選手。全員そうですけど、特にそういう選手だと思う。結果だけではなくて、練習態度、普段の過ごし方も見られる選手になってくる。ただ、結果を出せばいい選手ではない。ちょっとずつそういうレベルを上げていってもらえたら、より成績も勝手に残ってくると思います」