―― 300年以上も噴火を起こしていないので、富士山が活火山であるというイメージを持つのはなかなか難しいかもしれません。

「この300年というのは、富士山にとっては非常に特殊な状況です。5600年前ぐらいまでさかのぼって調べてみたところ、平均すると30年に1回ぐらいのペースで富士山は噴火しているんです。では、なぜ今、300年以上という期間が空いているのか。それがよくわからない。ともかく今までの富士山の歴史の中では、非常に長い期間休んでいる状態なんですね」

―― そう考えると、もういつ噴火が起こっても全然不思議ではない。

「それがわれわれの理解です。全く死に絶えた火山ならば、300年前の噴火を最後にもう何もないという可能性もゼロではない。しかし、2000年から2001年にかけて、富士山の下で深部低周波地震と呼ばれる地震が頻発したことがある。この地震は、富士山の下でマグマかマグマから分離した水蒸気みたいなものが動いているときに起きると考えられます。つまり、富士山の深いところにマグマが存在している。ですから、300年前で全て終わったと考えることはできないわけです」