>>15
次の目的地の街に向かうためにYとHとSは交代で大きな荷車を曳いて走っている

廃棄寸前に見えた荷車は近衛軍が遥か以前に正式採用していた荷車で、近衛軍が採用するだけあり耐久性の高さと整備性の良さには定評がある逸品

ただし製造日が古過ぎて、既に民間では荷車を整備するのに必要な専用工具や部品が手に入れにくいため
ほとんど使われていないで雨ざらしで放置されていたのだった

とても永く生きてきた三人には帝国領外地を点々と無職で暮らす前に、帝の近衛軍の軍属として働いていた時期があった

近衛軍で雑役をしていた三人には馴染みの荷車な上に整備や修理のやり方は教わっていた

その関係で荷車関係の専用工具や部品をコッソリと私物化していた

そこで手持ちの専用工具と部品で荷車を直して荷車本来の性能を取り戻して使う事にした

三人は少しでも近道をしたくて主要道路を外れて、もう何年も使われていない道に進路を変えていく