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晩飯時にはすっかり日も暮れて辺りは暗かったが夜目が野性動物よりも利く魔女と魔力強化人間の三人、明日は早立ちなので、三人で分担して食事に使った道具を片付けて荷車に収納する

せっかくの綺麗な泉の水だからと三人で泉にいき歯を磨くと、就寝前準備は終わり洞穴で寝る事にする

Yが洞穴入口の左右に寄せていた天幕の固定を外して二枚重ねて固定して洞穴入口を閉鎖する
その時に念のために警戒装置から外した子機を洞穴入口外部に設置して
天幕に備え付けの簡易迷彩装置を働かせる

洞穴内は床や天井に設置した照明でほの明るい、Yが床に敷かれたシートの上にある寝袋に入る前に
枕元の警戒装置本体の作動を確認してから寝袋に入る

Y「HとSに先に言っとくけど、明日は≠≠時に起床の早起きだから、オナニーはほどほどにね、それから静かにしてちょーだいね」

HとSのはーいの返事を聞いたYは寝に入る、HとSは寝袋内で静かにモゾモゾしながら、静かに熱い吐息を吐き出した

ちなみにYが今晩はオナニーをしないのは、Yは魔女なので激しく揺れる荷車に掴まっていなくても、魔法で体を固定して両手が空くから荷車の上で十分に済ましていたからである

未明に警戒装置が静かに、しかし最大刺激でYとHとSを強制的に覚醒させた

Yは跳ね起きて寝袋から出ると枕元の警戒装置本体に表示される警戒情報を読み取る

HとSはオナニーで昇天したまま寝入ってしまったので、秘密の花園がぬるぬるして気持ち悪いままYに近寄る

警戒装置を見つめるYの顔色が青色から黒紫色に変わり出したのは、別にショコラの魔女のイメージカラーが紫色だからではない

Y「日中に通り過ぎてきた廃墟群に災害獣反応が多数あり、内に中レベルと上レベルの感あり」

Yの報せを聴いてHとSの顔色も黒紫色に変わり始める

それでも気丈にYがかつてスリーホワイトシスターズ筆頭と呼ばれていた頃の気概を込めてHとSに命令する

Y「今から簡易式戦闘服を着用、HとSは着用したら寝具類を収納してもう一度荷物がきちんと固定してあるか確認、私は武器を準備します」

三人とも今から遥か昔ではあるが、帝国近衛軍ね軍属雑役夫として徹底的に厳しい訓練を受けていた

前線で戦闘に参加こそしない雑役夫だが、何度か前線を突破された通常軍を支援する部隊の後方支援雑役夫として働いたこともある

いつの間にか最前線同様の混戦になっていた時には、ほとんど逃げ回っていただけの三人だったが、そんな経験でも度胸だけは幾らか鍛えられていた

簡易戦闘服に着替えて武装したYとHとSは警戒装置を前にして、後は発見されない事を祈るだけしかできない

夜明けが来る前に災害獣の群れは三人の潜む洞穴に近寄ることもなく、警戒装置の索敵範囲から消えていった

それでも暫く様子を見てから三人は天幕と警戒装置の子機を片付けて
朝飯も食わずに荷車を曳いて廃墟群を横目に見ながら脱兎の如く逃げていった