「野球の終焉が近づき、マスコミは口をつぐんでいる」

プロ野球中継の視聴率が最終局面に到達している件について、
テレビの中の人々は、極力話題にしない方向で一致している。
裏方はともかく、少なくとも画面に出てくる人々は、決してこの話題に触れない。新聞も、だ。

デスク会議でナイターの視聴率が話題になることはあっても、紙面では事実上禁句になっている。
ついでに言えば、雑誌も同じ。誰も書かないキマリになっている。そう。私自身、書けずにいる。
だって、プロ野球の衰退なんかをコラムの主題に持ってきたら、
編集者が困惑するのは分かり切った話だから。気の毒だし。

つまり、日本のマスメディアは、プロ野球の終焉について、口をつぐんでいるのである。
いや、圧力だとか言論封殺だとか、そんな大げさなことを言いたいのではない。
ただ、現場には「その話題は勘弁してくれ」という空気が流れているのだ。
たぶん、あんまりムゴ過ぎるから。

小田嶋隆 「大日本観察」 より