小説「よっこらふぉっくすこんこんこん♪」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
三人が横一列に並び、ケミンの合図で歌がはじまった。
「「「よっこらふぉっくす こんこんこん♪」」」
可愛らしく精いっぱい明るい声で三人が歌い始める。
両手を前に伸ばし腰を落として上下に激しくシェイクしながら右に左に体を揺らす。
「「「尻尾をふりふり こんこんこん♪」」」
次は元気よく回転して背中を向け、腰に手をあて、しっぽを振りながら腰を振る。
「「「耳の先だけ くっろいぞ♪」」」
しゃがんで狐耳に手を当て上目使い。
「「「尻尾の先は しっろいぞ♪」」」
体を半身にして尻尾を手でもちあげ先を見せつけてくる。
「「「よっこらふぉっくす こんこんこん♪」」」
サビらしく冒頭と同じ振りだ。
「「「もふもふふかふか こんこんこん♪」」」
背中を向けて尻尾と腰を振る。
「「「こーーーーん♪」」」
最後は全員でおもいっきり飛び跳ね、心底楽しそうに叫ぶようにして終了。
その、なんというか、すっごく可愛い。もう可愛すぎて理性が飛びそうだ。 何作世に出してると思ってるんや
売れっ子も売れっ子小説家やぞ 娘さんたちが横一列になり、下男の合図で舞が始まった。
「「「よっこらふぉっくす こんこんこん♪」」」
年頃の娘さんには似つかわしくないほど精一杯舞っている。
一介の書生に過ぎぬ私は今までこのようなものを見たことがなかったので、何と反応すればよいのかわからぬ。
横目でちらりと見ると、Kも私と同じくどこかもじもじした態度である。
「「「尻尾をふりふり こんこんこん♪」」」
娘さんたちが尻尾を大きく振る。尻尾の動きにあわせて服がひらひらと動く。
「「「耳の先だけ くっろいぞ♪」」」
姿勢を低くする娘さんたち。独特の拍子が私の大脳に艶やかな記憶として刻み込まれる。
「「「尻尾の先は しっろいぞ♪」」」
体を半身にして尻尾を手でもちあげ先を見せつけてくる。
Kの方はというと、目をちらちら動かしながら舞を見ている。
この仕草はKが強く興味を惹かれている者に対してする仕草であることを、私は知っていた。
「「「よっこらふぉっくす こんこんこん♪」」」
先程と同じ振り付けである。
「「「もふもふふかふか こんこんこん♪」」」
背中を向けて尻尾と腰を振る。
「「「こーーーーん♪」」」
舞の最後は大きく飛び跳ねるような振り付けであった。
それにしても色恋には疎いKが始終顔を赤らめながら舞を見つめていたのが愉快でたまらぬ。外へ出た後Kをひとつからかってやろうと私が口を開いたとたん、
「狐娘も存外悪くないものだな」などとKが言ってくるのでまた愉快な心待ちになった。
夏目漱石「こゝろ」より その、なんというか、すっごく可愛い。←これだいきらい ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています