阪神の雰囲気が明るい。その一因をたどると、矢野燿大・新監督の影響が大きい。開幕戦から得点が入るたびに手を叩いたりするなどリアクションが凄い。

現役時代に捕手だった矢野監督は冷静沈着なイメージがあったが、情熱的な一面も。1軍作戦兼バッテリーコーチだった17年には4月4日のヤクルト戦(京セラドーム)で藤浪晋太郎が与えた死球を発端に乱闘になった際、巨体のバレンティンに跳び蹴りで応戦して周囲を驚かせた。

 昨年は17年ぶりの最下位に低迷。藤浪、高山俊、中谷将大と期待の若手が伸び悩んだ。結果が出ないと重苦しい雰囲気になる。
だが、今年は違う。ベンチでは選手たちが笑顔で声を張り上げている姿が目立つ。まだ開幕して間もないが、負けていても、伸び伸びと野球をしている印象を受ける。

 矢野監督の意識の根底には選手を「守る」という意識があるのだろう。春季キャンプから「自主性」をテーマに掲げ、どうすれば勝てるか、どうすればレギュラーを勝ち取れるか選手自身の頭で考え抜いて取り組むことを求めている。また、目先の勝利だけでなく、選手の野球人生を考えて発言する。