これはバアの耳だ。オレはバアと仲がよかったんだ。
バアは、大きな大きな、この船より大きなケダモノだ。
バアと鳴くから、オレはそう呼んだ。
バアはおそろしいが、毎日毎日、バアの攻撃を
よけるトレーニングをしていたら、仲がよくなった。
……とても仲よくなった……
……でも、お父さんは怒った。バアと仲がよくなるとトレーニングじゃない。
それで――お父さんは銃でバアの耳を撃って、バアを怒らせた。
二度とバアは、オレと仲よくなってくれなかった。
だからオレは……バアの耳といっしょにいることにした。