【ソフトバンク3―0オリックス】
感情を抑え切れなかった。335日ぶりの黒星を喫したオリックス・山本はバスに乗り込む直前に足を止めた。

 「誰も言わないから言います。今に始まったことじゃないですけど、球際に弱い選手が多いし、1つのプレーが軽すぎる。相手の守備を見て何も感じないということはない。自分も含めてワンプレーに気持ちを入れていかないと」。
プロ入り以来、敗戦の責任を常に背負ってきた山本が初めてキレた瞬間だった。

 6回1死一、三塁のピンチを招き、中村晃の遊撃へのゴロをさばいた紅林が二塁へ悪送球し、先制を許した。なお一、三塁で続くグラシアルの遊ゴロの間に2点目を失った。山本の京セラドーム大阪での連続イニング無失点は「22」で止まった。
「勝負どころでの直球が良かった」とソフトバンクの先発石川を評価したが、そんな相手エースに敗れたことよりもチームの現状に我慢ならなかった。

 この日の3失策で今季7失策はリーグ3位だが併殺を取れないなど記録に表れないミスもある。
投手陣のフラストレーションが相当たまっているのは事実だ。
防御率0・90の力投が白星につながらないイラ立ちも重なったエースは最後に
「ウチのチームはまだ若い選手が多い。もっとがむしゃらにやってほしい」と加えた。

 チームは今日の敗戦で借金3。Bクラス脱出もここが踏ん張りどころだ。投手と野手の信頼関係が崩れれば、シーズンも終わってしまう。

 ≪気持ち分かるが≫
山本の発言にオリックス・中嶋監督は困惑顔ながら「気持ちは分かるけど、それをカバーするのもエース。山本の言うことじゃない」とぴしゃり。
試合後は安達、紅林の野手陣をコーチ室へ呼び出して反省会を行うなど、首脳陣もチームの立て直しに必死。
指揮官は「みんな分かっているんだから」と自分に言い聞かせるように話した。

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