予祝！キャンプ中に胴上げ！阪神・矢野監督
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まだ２月。史上最速の胴上げだ！ 阪神・矢野燿大監督（５３）が２３日、びっくり仰天の胴上げで３度宙に舞った。練習前の声出しを担当する「ワンデーキャプテン」を務めた糸井嘉男外野手（４０）と西勇輝投手（３１）の計らいによる〝予祝〟で、
現実となることを引き寄せるべく全員で前祝い。キャンプイン直前に今季限りでの退任を発表した指揮官も破顔一笑だ。将の考えが浸透したチームで紡ぐ物語の結末は、約８カ月後に明らかになる－。 思いをひとつにする選手たちに、歓喜の輪へと招かれた。ここが宜野座でなく、今が２月でなかったら、見上げる天井は涙でにじんでいたに違いなかった。矢野監督がナインの手で宙を待った。
「うれしいサプライズで、気持ちよかったです。考えてくれた（糸井）嘉男と（西）勇輝に感謝や。今シーズンもそのような思いで戦ってくれているというのは、本当に俺にとってはありがたいこと」
広島との練習試合は雨で流れた。だが指揮官の背中には、ベテラン２人を中心に全員がグッと押してくれている感触が、たしかに刻まれた。
今キャンプ、多くの選手が自身の座右の銘などをＴシャツに書き込んできた「ワンデーキャプテン」の制度。練習前のそのひと幕がその舞台だった。まず上着を脱ぎ、胸に書いた「予祝」の字を見せたのは西勇だ。
「未来の姿を先に喜び、祝ってしまうことで現実を引き寄せることを『予祝』と言います」
それは矢野監督が、就任以来「タイガースは優勝しました！」と言って実践し、説いてきたことだった。西勇は続ける。
「ただひとつ、みんなできていないことがあります。（佐藤）輝、なんやと思う？ 馬場、分かる？ 糸井さん、何ですか？」
ここで超人が「ひとつしかないやないか、おまえ」と上着を脱ぎ、「これちゃいますか？」と見せたのが「胴上げ」の文字だった。
矢野監督もノリノリで「ありがたくいただきます」と言って中央へ－。全員の「せーの…」という掛け声で、将は３度舞った。グラウンドに降り、拍手の中「ありがと～！」と手を挙げた。 キャンプイン直前の退任発表に、キャンプ中の胴上げ－。外から見れば、いったい何が起きているんだと思われるかもしれない。
だが、西勇や糸井ほどのベテランにまで「未来は変えられる」という考えが浸透し、「監督を胴上げしたい」と思わせているのが、矢野監督が作り上げてきた阪神でもある。西勇は「いろんな意見があると思うんですけど、そんなんも跳ねのけられるように」とうなずいた。
あまりにキレイな流れだっただけに「台本はあったのか？」と問われた糸井は、役者としての力量を問われたと思ったのか「大根？」と〝ひとボケ〟。その後、真っすぐ前を見て「良い雰囲気だったでしょ？ シーズン後半には絶対にやり遂げたいこと」と力強く語った。
このメンバーと見たい景色は、矢野監督の頭の中でももう描けている。「日本一のチャンピオンフラッグを持った選手たちが歩いていく姿を、俺が一番後ろで見るというのが、いつも描いているイメージ」。誰が何と言おうが、矢野虎らしく、〝早すぎる胴上げ〟を１７年ぶりの待ち焦がれた瞬間につなげる。 ■予祝（よしゅく） あらかじめ祝うこと。前祝い。古代日本人が農産物などの豊穣を祈って、花見をするなどの模擬実演をしたことがルーツとされている。矢野監督はひすいこたろう氏の著書「前祝いの法則 予祝のススメ」に感銘を受け、実践。
２０１９年の就任時から、インタビューでは「阪神タイガース、日本一になりました！」などと宣言してきた。ミーティングでも優勝が決まったときの情景を語るなどして選手を鼓舞。日記にも次の日にヒーローになるであろう選手の名を記すなど「予祝」を続けてきた。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
