あふれんばかりの力がみなぎっていた。ガンバルンバ―。石川昂はその力をバットから白球に乗り移し、竜党の大歓声に応えてみせた。

試合前の“一杯”が力をくれた。練習が始まる前のこと。立浪監督から唐突に「ユンケル飲むか」と聞かれた。答えはもちろん「飲みます」。試合直前にロッカーの椅子に置かれていたユンケルを飲み干した。二十歳の石川昂にはやや“大人な味”を味わいながらグラウンドに向かった。詳しい理由はわからなかった。だが指揮官からの気遣いであることは間違いない。「そうやって気にかけてもらえるのは、ありがたいですし、うれしいです」。もらった恩に報いるべく、バットで最高の結果を残した。

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