巨人が、本格的に大勢の密着を始めたのは関西国際大の2年に在籍していたころだった。他球団も調査を続けていた中、関西国際大の鈴木英之監督は「ジャイアンツが一番、熱心だった」と印象を語った。
その点で、巨人の担当・岸敬祐スカウトの奔走を見逃すことはできない。

岸スカウトは試合の視察だけではなく、練習が行われた大学のグラウンドに頻繁に足を運んでいた。鈴木監督は「練習もしょっちゅう来ていました。
ずーっと見ていました。一番、練習を見ていたのは岸さんでした」。
足を使った地道で熱心なスカウト活動は後に、実を結ぶことになる。

大勢は20年春に右肘痛を発症し、ドラフトイヤーの昨年5月に同箇所の疲労骨折が判明した。
春先には他球団も上位候補として名前を挙げていたが、右肘の故障だけにドラフト戦線で評価は割れた。
それでも故障前から密着し、練習も見てきたからこそ、“大丈夫”と確信できるあるゲームがあった。

昨年9月19日・大産大戦(ほっともっと神戸)。先発して当時の自己最速となる157キロをマークし、10回を9安打14奪三振6失点(自責2)。
188球を投げ、ラスト1球で衝撃的な150キロを計測したという。この試合は新型コロナウイルスの影響で、スカウトの入場が認められていなかった。
それでもピッチングの内容を把握し、登板後の経過にも問題ないことをつきとめていた。

 球団は岸スカウトの報告を受け、映像を繰り返しチェック。
ドラフト前に1位は“左の隅田と、右の翁田(大勢)”という結論を導き出した。原監督は「俺は(大勢は)右でトップランク。1番」と高評価していたことを明かす。

https://news.yahoo.co.jp/articles/679ea76b6372a9c02a6115836bbb813df0f30f59