阪神・矢野燿大監督(52)の動き≠ェ、さらに活発化している。

 26日の中日戦は降雨中止となり、指揮官は甲子園の室内練習場で行われた全体練習で野手の打撃指導にも本格進出。これまでは担当コーチに任せていた選手個々の指導にあえて踏み込んだ。

 ここ最近の矢野監督はとにかく積極的だ。すでに前カードのヤクルト3連戦(神宮)では本塁打を打った選手に贈呈される「虎メダル」のプレゼンター役を買って出るなど、グラウンド外でも低迷脱出へのアクションを自ら起こし始めている。

 そして、この日は通常メニューを終えた4年目の小幡竜平内野手(21)を「竜平!」と手招きして呼び止め、マンツーマン指導を開始。自らティーのトス役を務めると小幡のバットを拝借し、身ぶり手ぶりも交えながら深いコミュニケーションを取り続けた。さらに左打ちで実際に打ってみせ、その内容を自ら実演するほどの熱の入れようだった。

 この熱血指導について矢野監督は「『ちょっとこうじゃないかな』というのがあって。バッティングコーチも(巡回コーチの)藤井さんとも一生懸命みんなやってくれているところもあるからアレやったけど。自分の気づいたことは伝えて。もちろん俺も選手を悪くするつもりは当たり前やけど、もちろんないし」とし1コーチ≠フ目線で助言を送ったことを明かした。

 指揮官が従来の枠を超えて打撃指導を敢行した動機は、やはり開幕以来、リーグワーストの73得点と低迷の要因となっている打線の現状打破だろう。

 現在、一軍には一、二軍巡回の藤井康雄コーチ(59)のほか、ヘッド就任以前は打撃担当だった井上一樹ヘッド(50)、北川博敏(50)、新井良太(38)の2人の一軍打撃担当がいる。この分野に矢野監督も本格参入となれば、異例の打撃コーチ5人体制≠ニなる。

 現役時代の2003年シーズンには打率3割2分8厘を残すなど、巧打の右打者としても定評が高かった矢野監督。指揮官としても今季が最後のシーズンとなるだけにあの時、ああすれば…≠ニいう「悔い」だけは残すまいと胸のうちで決めていることは想像に難くない。

 低迷脱出へなりふり構わぬ一挙手一投足アフィ≠ヘ今後もグラウンド内外で増えていきそうだ。