板垣 あれはもう、宮本武蔵が出てきた以上は、「誰かを斬るんだ」っていうのは、最初からのテーマだったから。

──誰かは武蔵に斬らせようと?

板垣 必ず斬られる人間が出る。だから、最初は本部以蔵のつもりだったのよ。以蔵を斬らせても、大局に影響はないだろうなと。

でも以蔵が「俺が守護(まも)らなかったら──」って、古武術に生きてきた経歴から言っても「俺以外に誰がいるんだよ。俺が皆を守護らなくてどーすんの!」って言った時に、担当者が笑ったんだよ、爆笑。

それで話しているうちに、「絶対に盛り上がるじゃん」「これ、本当に勝ったらすげぇな」って。「本当に守ったとしたら、こんな感動ってなかなかないぞ」と考え直して、「よし、これはもう本部を、克巳のように起ち上げて行こう」ってなったわけ。

それで誰かが代わりに斬られなければいけなくなって、「ところで烈って今、何やってんの?」と、それで、烈がチャンピオンに勝って帰ってくるっていうシーンに変えたというのが真相。

そりゃあ、烈が斬られたら、すごいシーンになる。でも、「烈を殺すのは、なんとか考え直せないだろうか」って編集部からも言われてね。