>>10
「神は細部に宿る」とはその通りで、このような台詞ではなく、映像で説明する映画的演出の細部の積み重ねが、結局、大きくその作品の完成度を決定していく。例えば、本作最大の悪役であるメフィラス星人(山本耕史・役)が、神永と居酒屋のカウンターで飲むシーンがある。山本耕史氏は特筆すべき当たり役で、メフィラス星人の紳士性と狡猾さを良く演じている。これは良いとしても、会計の段になった時にメフィラス星人が神永に「割り勘」を提案する。

その際、メフィラス星人が懐から財布を出す。果たしてメフィラス星人はクレジットカードで支払うのか、ペイペイで支払うのか、現金で支払うのかに注目したが、肝心の支払いを具体的には何で行うかを示さないまま、シーンが終わってしまう。居酒屋の会計でどのような支払い手段を用いるかは、メフィラス星人がこの段階でどの程度、地球人類の市民生活に溶け込んでいるかを示す絶好の映画的演出になるはずだが、それをまったく映さない。


確かに庵野ならその辺うまくやるよな