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雨が降りしきる甲子園。9回2死一、三塁。銀次は初球の内角直球を見送ると、フーッと息を吐いた。歩幅を広く、低く構える。投手をにらみ付けた。1ボールからの2球目。高めの直球を振り抜き、左前に落とした。遠かった1点。それをもぎ取り、一塁上で右手を突き上げた。「久しぶりにすごくいい詰まりができた。いい打撃をしたなという感じ」と、執念の一打に満足げだった。

「打てるボールはしっかり打ちにいく。芯に当たってのいい打球は全くこだわっていない。バットのどこで打ってもヒットになればいい」。会心の当たりもボテボテの打球も同じ安打。内容よりも結果にこだわる。この日も最初のスイングで外野の前に落とす当たり。野球観が凝縮された打撃だった。