■広報レポート <左腕の存在感>

ロッカールームでアイシングをしながら、加藤貴之選手は床に正座してモニターに視線を送っていました。
自らは役割を終え、勝ち負けはつかない状況。それでも、チームの勝利を祈ることに変わりはありません。
DeNA・今永投手がノーヒットノーランを達成した瞬間、「そうか、そう来たか」と残念そうにつぶやいて帰り支度を始めました。
札幌ドーム独特の雰囲気にも、ポーカーフェースは崩れませんでした。六回まで2度、得点圏に走者を進めながら後続を断って無失点。
圧巻だったのは五回です。二本のヒットで二死一、三塁のピンチを背負ったものの、セカンドフライでベイスターズ打線に本塁を踏ませませんでした。
「状態は前回より良くなかった」と話す一方で「粘って投げることができた」と持ち味を発揮できたと振り返ります。
その中で、「野手の素晴らしいもプレーもあり、ゼロで抑えることができました」と謙遜するところが、“カトちゃん”らしさだといえるでしょう。
これで交流戦3試合で19イニング連続無失点。防御率は1.93まで下がりました。
勝利数と敗戦数では決して測れない存在感を、この左腕は持ち合わせています。