「主人はそれ以来生きる気力を無くし、どんどん弱っていきました。」こう語るのは郡内地域に住む女性(88)だ。
女性の亡き夫(享年91)は人気アイドルグループ・乃木坂46の大ファンで、首都圏のみならず地方で開催されるライブや握手会などにも欠かさず参加していた。
夫が生きがいを見つけて楽しんでいる姿を見て、安心していた矢先のことだった。中国で新型コロナウイルスが発生し、それが瞬く間に我が国にも広まったのだ。この影響を受け、ライブや握手会などのイベントも中止が相次いだ。
この事態を受けて夫は非常に落胆していた。しばらくしてライブは徐々に再開されていったものの、コールなどの声出しは禁止されており、以前ほど盛り上がれなくなってしまったと女性の夫は嘆いていた。
「主人はライブもそうですが、握手会をそれ以上に楽しみにしていました。握手会が開催されなくなったことで主人は生きがいを失い、急速に弱っていってしまいました。」と女性は話す。
そんなある日のこと、悲劇は起きる。昨年の2月に自宅の階段で転び、右足の大腿骨を骨折してしまったのだった。それ以降夫は寝たきりとなり、病院のベッドで1日を過ごすようになる。
女性は定期的に見舞いにも行ったが、夫は目もうつろになり、話しかけてもどこか上の空のようにも感じられた。夫の死が近いのではと感じていた矢先のことだった。
「ご主人がお亡くなりになりました。」この一報を受けて女性は病院に向かった。去年11月のことで、死因は老衰だった。
女性は話す「コロナのせいで主人の最期は滅茶苦茶になってしまいました。私はただただコロナが憎いです。」