「おっけい! よ~し!」

神奈川県川崎市のジャイアンツ球場の室内練習場に、巨人・長嶋茂雄終身名誉監督の声が響く。6月12日に長嶋氏がマンツーマン指導を行ったのは、悩める長距離砲・中田翔(33)だ。

ミスターの指導に熱が入るのもムリない。中田は、6月6日に今季2度目の2軍降格となったのだ。4月に首の痛みで登録抹消となったが、5月に再昇格。しかし調子が上がらず、再びファーム行きに。これまで打率.215、本塁打5(成績は6月12日現在)と、打率1割台に終わった昨季に続き不振が続いている。

「中田も必死ですよ。今季は体重を20kgほど増やし、ベストの体調でシーズンに臨みました。日本ハム時代は『大将』と呼ばれ豪快な言動が目立ちましたが、巨人ではチームカラーに合わせようととても大人しい。首脳陣のアドバイスにも、素直に従っています。日ハムの時は数日おきに上げていたインスタグラムも、今年はほとんど更新していません。相当苦しんでいるんだと思います」(球団関係者)

中田と原監督には、決定的な齟齬があるようだ。だが、中田が巨人に移籍した背景には自身が起こした暴行事件がある。反省し大人しくするのは当然で、日ハム時代と同じ態度を求めるのは少し酷かもしれない。

「中田にとって、巨人は決して居心地の良い球団ではないでしょう。本来の振る舞いをしたら批判を受けるでしょうし、大人しくしていては首脳陣の信頼を得られない……。

中田にとって最も良いのが、日ハムへの出戻りかもしれません。再び主軸として使われ続ければ、輝きを取り戻せるはず。5月28日に札幌ドームで行われた交流戦のスタンドには、中田が日ハム時代に着ていた背番号『6』のユニフォーム姿のファンが多く見られました。しかし、若手を次々に抜擢し、結果を出し始めている今の日ハムに中田が戻るのは容易ではありません」(同前)

自分を押し殺し、巨人では本来の力を発揮できていない中田。苦悩は続きそうだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6627d97ef25d08ce517bc827f647b0454d20c506