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「泰示の状態はいいですし、(スタメンの)間隔が空き過ぎるのもよくないと考えました」。三浦監督はスタメン起用の理由をそう語った。
1点を追う9回、先頭の1番・桑原が左前打で出塁。3番の佐野はリーグトップの打率を誇り、4番の牧も控えているだけに、普通の2番なら送りバントの場面だろう。
ところが、三浦監督は「送りバント? 全く考えなかったです。泰示を出す以上、あそこは任せました」と言い切る。

 殊勲はこれだけではない。9回2死後、嶺井が詰まりながらゴロで一、二塁間を抜くと、大田は二塁から快足を飛ばし本塁へ突入。
右翼手・佐藤輝の好返球でタイミングはアウトに見えたが、頭から滑り込みながら捕手・梅野のタッチをかわし、サヨナラのホームイン。
阪神サイドがリクエストしたが、判定が覆ることはなかった。大田は「(タッチを)よけるしかないと思い、頑張って長い腕を伸ばしました」と茶目っ気たっぷりに笑った。

「みんなが救われました」と三浦監督はしみじみと振り返る。初回に4点を先行しながら、これまで奮闘してきたリリーフ陣がつかまり、いったん逆転を許していた。
しかも5回の失点は、これまでチームを牽引してきた牧のエラー絡みだった。そのまま負けていれば、チームのムードは地に落ちていたかもしれない。

 三浦監督は改めて「泰示は試合に出ていても出ていなくても、ベンチを盛り上げて戦ってくれている。試合でもベンチでも戦力です」と称賛した。
ムードメーカーの大田がヒーローとなったことで、試合終了後もベンチ裏のロッカールームからは、興奮した選手たちの絶叫が止むことなく聞こえてきた。
スタンドで観戦していた南場智子オーナーも、「ナイスゲーム、ナイスゲーム」と球団関係者に頭を下げながら、祝福にベンチ裏を訪れたほどだった。