心臓に血液を供給するため関係者が安倍氏の足を持ち上げ、中岡院長と看護師らが心臓マッサージを行った。
だが、呼吸は止まり、脈動も確認できない。「一刻も早く救急車を」。そう願いながらAEDを手に取った。

しかし、故障もしておらず、正しい手順を踏んでいるはずのAEDが動かない。

「AEDは心臓が少しでも動き、脈がきちんと取れている場合しか使えない」。心臓の拍動は停止していた。

救急隊に引き継ぎ現場を離れたが、その後、安倍氏の死亡を知った。
深刻な容体を目の当たりにしていただけに、驚きはなかったが、無念さは募る。「現場でやれることは限られていた」と唇をかんだ。