ヤクルトの「歴史的独走」を許したセ・リーグ5球団それぞれの“大誤算”

 7月2日、セ・リーグ連覇を狙うヤクルトの優勝マジック53が点灯した。これは1965年の南海(現ソフトバンク)が記録した7月6日を上回り、プロ野球史上最速である。ヤクルトが強いことは確かだが、投手では奥川恭伸、野手ではサンタナといった主力を欠きながらの戦いであることを考えると、独走の要因は他の5球団によるところが大きい。【西尾典文/野球ライター】

 大差をつけられながら、ヤクルトを追走している巨人は、やはり攻守の柱と言える選手が機能していない。エースの菅野智之は、昨年と比べると少し持ち直してはいるとはいえ、コンディション不良から既に2度も登録を抹消され、貯金を作ることができていない。悪いなりに抑えているのはさすがだが、かつてのような絶対的な存在ではなくなっている。リリーフ陣は、ビエイラ、デラロサ、中川皓太の3人が揃って戦力になっていないのが現状だ。

「野手は、攻守の要である坂本勇人が故障で度々戦列を離れており、その影響でマークが厳しくなったこともあってか、主砲の岡本和真が打率を落としている。投手ではドラフト1位ルーキーの大勢、野手では増田陸など若手が出てきていることは救いですが、やはり主力が揃わなければ、ヤクルトを追うことは難しいでしょうね」(他球団のスコアラー)

 巨人と並んで前評判が高かった阪神は、開幕9連敗といきなり大きく躓いた。その原因は守護神のスアレスが抜けたリリーフ陣であることは火を見るよりも明らかだ。

 新守護神として期待されたケラーは、打ち込まれて開幕早々に二軍調整となり、ブルペンを支え続けてきた岩崎優も本来の調子とは程遠い投球が続いている。湯浅京己が救世主的な存在となり、何とか立て直してはいるとはいえ、ここ数年は、リリーフの強さがチームの武器だっただけに、大きな誤算であることは間違いない。

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