現時点で報道されている事実から、次の3つの理由が考えられる。

1)恨みによって復讐願望を正当化
2)強い他責的傾向
3)<例外者>特有の特権意識

(中略)
 
 問題は、恨みが強いと、復讐願望を抱き、しかもそれを正当化することだ。山上容疑者が「宗教団体のせいで家庭が崩壊し、その結果自分は不利益をこうむり、大変な目に遭ったのだから、恨みを晴らすために復讐しても許されるはず」と正当化した可能性は十分考えられる。
だからこそ、「団体のトップを狙うつもりだった」と供述しているのであり、トップとの接触が難しかったから、矛先を向け変えて安倍氏を銃撃したのだろう。

山上容疑者が恨みと復讐願望を募らせたのは理解できなくもないが、母親が自己破産したのは20年前である。

その後、自分の力で窮地を打開することもできたはずなのに、彼の人生はあまりうまくいかなかったようだ。2002年、21歳で海上自衛隊に入隊し、2005年までの3年間、任期制自衛官として勤務。除隊後は職を転々としていた。

 最近は、2020年10月から京都府内の工場でフォークリフトで荷物をトラックに積み込む「リフトマン」として働いていた。しかし、トラック運転手や同僚と口論になることがしばしばあり、今年3月頃から欠勤が目立つようになって、5月に退職。犯行時は無職だった。

職を転々としたり、職場でトラブルを起こしたりするのは、母親が宗教にのめり込んで自己破産したことと直接関係があるのだろうかと疑問を抱かずにはいられない。

それでも、山上容疑者が自分の人生がうまくいかないのは、母親が入信した宗教団体のせいだと思い込んでいたとすれば、何でも社会や特定の集団のせいにする他責的傾向が強いといわざるをえない。

 このように他責的傾向が強いのは、無差別殺人犯にも認められる特徴である。今回の犯行現場になった演説会場で、山上容疑者が安倍氏に近づくことができなかったら、復讐の矛先をもう1度宗教団体に向け変えて無差別大量殺人をもくろんでいた可能性も否定できない。

安倍氏銃撃の容疑者、人生の不調を宗教団体のせいにする他責的傾向…自分を例外者扱い
https://biz-journal.jp/2022/07/post_306272_3.html