◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇18日 中日1-2DeNA(バンテリンドームナゴヤ)

 7イニングを3安打、2失点の高橋宏を負け投手にした。これを見殺しという。1回、無死満塁。ビシエドの犠飛で先制した。ここ10試合で、1回に得点したのは6試合もある。しかも右翼のファウルエリアへの大飛球だったため、全走者が進塁した。安打の次に理想的な1死二、三塁。しかもDeNAの内野は後ろに引いていた。ここで2点目を取れなかったことが、見殺しの要因だ。

 しかし5番打者は、まだ支配下選手(96番)のユニホームさえ間に合っていないワカマツだった。初球から果敢に振ってはいったが、ファウルで追い込まれ、捕邪飛に倒れた。阿部がいない。高橋周もいない。A・マルティネスまで離脱した。得点力不足が深刻な打線から、この3人が抜けたのだ。打て、点を取れとは無理な注文なのか…。

 大島とビシエドを除いた6人の先発野手の安打数を足してみた。540本。逆転2ランを浴びた佐野は487本。野球はかなりの部分、技術と経験で勝負する。つまり「顔」である。もちろん、どんな選手も最初はない。技を磨き、修羅場をくぐり抜け、後から「顔」はできていく。8人の野手がいる。「顔」がある先輩たちが壁となって風を防ぎ、屋根となって雨をしのぐ。そうやって風雨から守られ、若い芽は育っていくものだ。ところが大島とビシエドだけでは、とても壁にも屋根にもなれないのだ。

 しかし、新型コロナも故障者も竜に限ったことではない。だから、今いるメンバーの話を書く。ベンチに1人だけ「顔」のある選手がいる。通算1038安打の平田だ。6回、2死二、三塁。最後のチャンスに代打で起用され、DeNA・平田との同姓対決で中飛に倒れはしたが、今の彼のスイングなら相手は警戒してくれる。19日の先発は左腕・石田。5番に平田を…。僕が思い付くたったひとつの策である。