若い頃の思い出などの「長期記憶」は鮮明に覚えているにも関わらず、数秒~数分前の「短期記憶」が難しくなり、ほんの少し前に起きた出来事もすぐに忘れてしまいます。認知症の記憶障害はところどころ忘れていることが特徴です。

少し前に質問したこと自体を忘れて、何度も同じことを聞き返すことがあります。さっき食べたみそ汁の具を思い出せなかったり、食べたことを忘れて“朝ごはんはまだ?”と聞いたりすることがあります。残り物を温めようとして、鍋をコンロにかけたことを忘れ、鍋を焦がすことがあります。

お気に入りのテレビドラマのストーリーを追うことが難しくなり、前回のストーリーを思い出せないので、だんだん面白くなくなってドラマは観なくなります。その代わり、投げた、打った、蹴った、点が入ったなど、スポーツはルールがわからなくても観戦はできるので、野球、サッカー、ラグビー、相撲などを好んで観るようになります。

置き忘れ、片付けたことを忘れるなど常に探し物をしている状態です。通帳や印鑑をどこにしまったかを忘れて、誰かが盗ったと思い込み、家族とトラブルになることはよくあります。失禁した下着を見られたくなくて箪笥の奥にしまったまま忘れ、箪笥から変なにおいがして開けたら、カビの生えた下着が出てきたということもあります。

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