第50回、日本で迎えた衆議院選挙
食口らの活躍も虚しく自民は大量落選、公明も勢いを見せず惨敗だった
自由民主本部に響く統一信者のため息、どこからか聞こえる「今年は10議席だな」の声
無言で帰り始める議員の中、前総理大臣岸田は独り官邸で泣いていた
権力で手にしたメディア、国民、お金、そして何より信頼できる統一教会のサポート・・・
それを今の自民党で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」岸田は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、岸田ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰って壺を買わなきゃな」岸田は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、岸田はふと気付いた

「あれ・・・?支持者がいる・・・?」
官邸から飛び出した岸田が目にしたのは、赤坂まで埋めつくさんばかりの支持者だった
千切れそうなほどに旭日旗が振られ、地鳴りのように世界平和統一家庭連合の聖歌1番「復帰の園」が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする岸田の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「フミオ、빨리 돈을 치르세요!」声の方に振り返った岸田は目を疑った
「文・・・鮮明さん?」 「日本をトリモロスぞ!」
「ア・・・安倍聖帝?」 「なんだ岸田、かってに安倍さんを死亡させやがって」
「岸さん・・・」  岸田は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
1番:安倍 2番:麻生 3番:菅4番:茂木 5番:萩生田 6番:内川 7番:河野 8番:梶山 9番:小泉進
暫時、唖然としていた岸田だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
電通からグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走する岸田、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、奈良市内で冷たくなっている安倍が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った