暑さ対策に関連するトピックスとしては、全国高校野球選手権大会を「甲子園でなく京セラドームで開催すべき」という極論もテレビ番組に出演する一部のタレントや有識者、ネット上などから相変わらず発信され続けている。

だが、この京セラドーム開催案には主催者側を含め大多数の高校球界関係者が「あり得ない話」と完全否定しているのが実情だ。

懇意にしている地方高野連幹部の1人に電話をかけ、前出の2部制開催に関して話を聞いた後「京セラドーム案はどう思いますか」と直球質問をぶつけてみた。すると半ば苦笑い気味で次のような答えが返ってきた。

「そもそも暑さ対策だからと文句ばかり言って甲子園で開催しないと決め込むならば、別に京セラドームを会場にする理由がないでしょう。別に他のドーム球場でもいいわけだし、涼しい北海道や東北の天然芝の球場だっていいじゃないですか。こういう、その場しのぎのアイデアを口にする人の多くは高校野球や高校球児たちの深層を全く分かっていない。

仮に『夏の甲子園』が消滅することになったら確実に日本の野球人口は激減しますよ。それぐらいに高校球児たちは甲子園出場を夢見て目標にしながら日々の猛練習に励んでいるわけですから」

その後も、同幹部の口調は激しさを増した。

「これが『夏の京セラドーム』や別の球場名の『夏の〇〇』になったら、どうなるか。考えてもみてください。例えばテニスの4大大会の1つで歴史深い『ウィンブルドン選手権』がウィンブルドンの会場(オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ)で開催されなくなれば、多くのテニスプレーヤーがショックを受けるはず。

歴史ある甲子園のグラウンドに立ちたいと願う全国の球児のためにも、夏の甲子園は存続させなければいけないと思っています。これはアンチの人たちからよく言われるような我々のエゴでも何でもない」