DeNAは近年、優勝争いの経験がない。選手の経験値が少ないため、勝負どころで「普段通りの野球」がなかなかできない。昨季、日本一に輝いたヤクルトとの絶対的な差はそこにあり、ヤクルトはこのまま連覇すれば、この試合がターニングポイントになると思う。

 DeNAは、優勝しない限り実体験を得られないからこそ、今の戦いが難しい。ただ「この試合を勝てば」という戦いを1つでも多くやれるのがプロの醍醐味(だいごみ)。こういう試合で浮き彫りになる課題は個人が今後、意識することで成長を促すことになる。

 経験を積み上げるためにもヤクルトに食い下がってほしい。私も97年の横浜(現DeNA)時代に首位ヤクルトに3・5ゲーム差にまで接近し「俺たちもいける」と感じた9月の直接対決で石井一久(現楽天GM兼監督)にノーヒットノーランを食らった。最終的には11ゲーム差まで突き放され、悔しい思いをしたが、そこでの経験は翌98年の優勝につながった。DeNAは7ゲーム差に後退したが、今が踏ん張りどころだ。(日刊スポーツ評論家)