0001それでも動く名無し
2022/08/19(金) 23:09:27.61ID:iQ6b/UXJ07月8日の朝、ピンポーンってマンションのチャイムがなったの。
だれかしら、こんな朝から。ドアを開けるとやつれた徹也がいたわ。
「やだ、こてつ、何日か仕事で出かけるんじゃなかったの?」
「あ、忘れたものしてさ、ついでにお前の顔をちょっと見に来た」
え、何?おかしいわ、なんか徹也の雰囲気が変だわ、疲れてて、でも異様に緊張して。こわいの
交通事故でもおこしたのかしら、ゴールド免許なのに。
「とにかくあがって、朝ごはん一緒に食べよ」急に何か恐ろしい明日を察知して無理して微笑むアタシ
「オレ、オレ急いでいるから、とにかく一目お前の顔見たかったから」
うつむいて目をしばたたかせてる。え?泣いてるの?
思わず徹也の太い腕をギュっとつかんだわ「ね、とにかく落ちつこ、喉乾いてない?一緒につめたいサイダー飲も」
「時間がねえんだよっ」無理して怒って私を突き飛ばす徹也
きゃっ、玄関に転がるアタシ
振り返らずに徹也はふるえる声で怒鳴ったわ
「オレ、お前が御釜でもほんま好きやったわ!心は女より女だし、世界でいちばん優しいから!」
すさまじい音でドアを閉めて走り去る徹也
廊下をはしる足音が遠ざかっていく
玄関にはタバコと獣のような男の汗の匂いを残して