那覇署は18日、牛の人工授精に関する記録を怠ったとして元家畜人工授精師で農家の男性(50)=沖縄県久米島町=を家畜改良増殖法違反の疑いで那覇地検に書類送致した。男性は署の調べに容疑を認め、「忙しくて記録できなかった」と話しているという。同法違反の摘発は県内で初めて。

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送検容疑は2019年9月8日~20年2月23日までの間、久米島町内で牛の家畜に人工授精をした91回分について、義務付けられている記録簿への記載を怠った疑い。県が同容疑で刑事告発し、署が7月28日付で受理した。

20年3月、希少性の高い優良種雄牛「安福久」の血統として久米島町の取引市場から出荷された一部の子牛が、実際には別の血統の牛だったことが発覚し、関わった男性を署が任意で調べていた。

捜査関係者によると、男性の不注意や知識不足と判断し、詐欺や種の保存法違反容疑での立件は見送った。

署によると、男性は10年以上前から精子を購入して雌牛に人工授精していた。県畜産課は20年9月、記録簿の記載漏れが多かったなどとして、男性の家畜人工授精師免許を取り消していた。