鳥谷が「スラッガー」グラブと出会ったのは早大2年時のことだ。大学の大先輩でもある広岡達朗から直々に譲り受けた。

「うまい人はこのグラブを使うんだ。握らないで、当てて捕りなさい」

巨人で一時代を築いた守備の達人からかけられた強烈な一言は、今も耳に残ったまま離れない。

学生時代、鳥谷にはある悩みがあった。

「それまでのグラブは、はめただけでは合うかどうか分からなかった。カチカチの状態から半年、1年をかけて型付けするしかなかった。それで失敗だったなと感じることもあった」