0001それでも動く名無し
2022/09/07(水) 18:23:46.92ID:uf/F3CD9dフロイトが指摘したように「大部分の男性の性行動には、相手を征服しようとする傾向として攻撃性が存在している」が、性衝動と攻撃衝動が結びついた典型例がサディズムであり、それが飲酒による「脱抑制」の影響で表面化するとも考えられる。
こうした傾向に拍車をかけたと考えられるのが、「自分は特別な人間だから,普通の人には許されないことでも自分には許される」という特権意識である。
(中略)
香川さんの一連のふるまいは許しがたいものであり、こうした対応は当然だと思う。私自身、香川さんを擁護するつもりは毛頭ない。ただ、香川さんが名優であることは否定しがたい事実であり、その点では優れたアーティストといっても過言ではない。
こういう場合、必ず脳裏に浮かぶのが作曲家の三枝成彰氏の「偉大なアーティストになるには大悪人でなければならない」(『大作曲家たちの履歴書(下)』)という言葉である。
香川さんを「大悪人」と呼ぶのは語弊があるかもしれないが、今回報じられた一連のふるまいから私はこの言葉を連想した。
歴史を振り返ると、これは真実だ。だから、三枝氏が「なにしろ先人たちを見ていくと、そろいもそろって“人間失格”的な性格ばかりだからだ」と述べているのも、なるほどとうなずける。
なかには、この連載で何度も取り上げた、思いやりも同情心もなく、罪悪感も良心の呵責も覚えず、反省も後悔もしない「ゲミュートローゼ」もいるが、こういう「大悪人」が文化を作ってきたことは否定しがたい。
香川さんも、その系譜に連なる「偉大なアーティスト」のように私の目には映る。第一、『半沢直樹』で香川さん演じる大和田常務が土下座を強要する姿が視聴者を魅了したのは、それだけ凄みがあったからだろう。
悪役や敵役を演じるとピカイチなのは、攻撃衝動を制御できなくなるとか、サディズム的要素を持ち合わせているとかいうことによると思う。
もしかしたら香川さんが地上波テレビに出演するのは今後難しくなるかもしれない。しかし、個人的には、香川さんが演じる悪役や敵役の鬼気迫る姿を見たい。そういう気持ちの人がお金を払う映画や歌舞伎だったら、出演は可能だと思うので、十二分に反省して再起を期していただきたい。
(文=片田珠美/精神科医)
https://biz-journal.jp/2022/09/post_315159.html