ソフトバンク王貞治球団会長「60本も夢じゃない」ヤクルト村上宗隆を祝福

-率直に村上の活躍をどのように見ているのか。

 「2位の倍ぐらい打っているんでしょ。打者としての強烈さを出していることがすごい。まだ5年目でしょ。5年目で他の選手を圧倒的に引き離して、チームの勝利に貢献している。ファンの人の気持ちに強烈さを植え付け、見せつけている。話題になるということがすごいことだと思う。5年目であれだけ強烈なことをやれるのはすごい」

 -ホームランバッターとして優れているところは。

 「今の時代、ある程度広角に打てるのが求められる。そういうことができる。普段の練習からもそうだと思うけど、試合で本塁打の飛距離がすごい。本塁打でも普通の『ナイスホームラン』程度の本塁打と、『すごいな』と思わせる本塁打とファンの人が見ていても全然違う。そういう本塁打を打てないと本数もなかなか増えない。彼は常にチャレンジして、飛距離にもチャレンジしているでしょうし、技術にもチャレンジしているでしょう。今のような成績になっても全然、慢心しているところも見えない。今が『俺にとって一番大事なときだ』という感じで取り組んでいる。野球選手としてもしっかりしているし、これからもっともっと50本、60本とかそういう本塁打を何回も打てるような結果を出してくれると僕は期待している」

 -今季60本を超える期待も。

 「60本も夢じゃないってことですよ。特に本塁打を(1試合で)2本、3本と打てる時があるからね。だからやはり可能性はあると思いますよ」

 -王会長のときは前年に野村克也が52本塁打打った。52本を越えてからの心境は。

 「52本を打ってからまだ10試合以上残っていた。あまり本数とか気にしないで普通の気持ちで戦っていた。打てるときは打てちゃうんですよ。多分、村上君もそうだと思う。皆さんからは『すごいな』とか言われるけど本人にしたら特別なことじゃない。打てちゃうから打てているだけで、どうしようとかこうしようとか特別なことをやっているわけではない。夏から秋にかけて自分なりに今年1年やってきたことを着実にやっているだけだと思う。その中で本塁打の本数も増えているし、5打席連続本塁打を打ったり、技術的に成長しているし、精神的にも強くなっていると思う。本人にとって不思議じゃない。不思議じゃないからもっともっと打てるわけで。自分が感激したり興奮しているようでは打てなくなる。1本打てば次、また次ということで取り組んでいると思う。残り試合でどこまでいくか楽しみですね」

 -王会長も本塁打の魅力を語ってきた。本塁打で野球が注目される意味。

 「1点を取るのにみんながあんなに苦労して野球をやっている。例えば無死三塁だって絶対に点が入るとは限らんからね。ところが(本塁打は)一振りで1点入っちゃうから、絶対に。最低でも1点。走者が3人いれば4点入るわけだから。やっぱり野球の華と言われるようにね。これはもう相手もどうしようもないわけ。スタンドに入っちゃったらどうしようも止めようもないしね。ファンの人もそれを望んでいるわけだから。だからやっぱり、アメリカで大谷君が注目されてるのは投手としてすごいっていうこともあるけれど、やっぱり本塁打をね。去年は、日本の選手がホームラン争いの中に加わっていたっていうね。それが大きな騒ぎになったんだと思うんで。それだけやっぱり本塁打というのはファンの人も皆さんも望んでいると思う。だから多くの人が望むようなことをできるっていうことが、やっぱり素晴らしいと思う。村上君にはこれからもどんどんどんどん、より大きな本塁打を、よりたくさん打つということにチャレンジしてほしい」