〝年俸半減危機〟は回避できたか。巨人は19日のDeNA戦(東京ドーム)に今季初の中5日で臨んだエース・菅野智之(32)が7回1失点と好投。4本塁打の援護を得て5―3で9勝目(6敗)をマークした。

チームをCS圏内である3位・阪神、広島とゲーム差なしまで押し上げた右腕は、自身の〝ピンチ〟も切り抜けていた。 【写真】DeNA打線を7回1失点に封じた巨人・菅野 エースが意地を見せた。初回、先頭・桑原に左中間フェンス直撃の二塁打を許すと、一死三塁から佐野に先制適時打を浴びた。ズルズルいきかねないところだったが、2回以降は要所を締め、二塁を踏ませず。

7回95球、5安打、7奪三振、無四球、1失点と好投した。 一方、打線はDeNA先発・今永に本塁打攻勢。2回、中田の23号同点ソロ、大城の13号勝ち越し2ランを皮切りに、4回、ポランコの23号ソロ、6回、丸の27号ソロの計4発で左腕を粉砕した。


原監督は「役割という点では流れを渡すことなく初回の1点でしっかりと抑えてくれた」と右腕をたたえた。


お立ち台で背番号18は「まあ初回の1点は前回(ヤクルト戦)も初球を打たれてしまって反省していたんですけど。たぶんこの後、監督に怒られると思います」「(今永は)ベイスターズで一番いいピッチャーだと思いますし、正直『またかよ』と思いましたが勝ててよかったです」と〝菅野節〟で笑いをとった。


3連勝で9勝目を挙げた菅野だが、実はある危機に直面していた。坂本と並びチーム最高年俸6億円の菅野は、球団内からは「大減俸のターゲット」と見られていた。 球団関係者は「コロナ禍の影響で観客動員数はなかなか回復しないし、ウチも無尽蔵というわけではない。菅野はこのままだったら去年と同じぐらいのダウン幅もありえる」と可能性を指摘していた。


前半戦の菅野は右ヒジ違和感や体調不良による離脱もあり、防御率3・56、6勝5敗と苦しんだ。年俸8億円から2億円ダウンとなった21年の防御率3・19、6勝7敗とほぼ同じ成績だった。 2年連続2億円減なら21年から半分の4億円となるところ。


だが、最終盤の巻き返しで2年ぶり2桁勝利まであと1勝。18年以来4年ぶりとなる規定投球回(143回)まで残り5回と1/3となった。 菅野は今後、25日の中日戦(バンテリン)と10月2日のDeNA戦(横浜)に登板予定。


数字的には2つとも十分にクリアは可能だ。 昨年の契約更改の席で菅野は「いったん封印して目の前に集中する」とメジャー移籍を棚上げし今季に臨んでいる。夢に挑戦する可能性は残すものの、チーム残留を選択した場合でも、そのダウン幅は当初よりは縮小されそうだ。