生活保護費のうち食費などに充てる「生活扶助費」の基準額の引き下げは、憲法が保障する生存権を侵害する違憲・違法な処分だとして、生活保護受給者の大津市の男女10人が国と市に処分の取り消しなどを求めた訴訟の第33回口頭弁論が27日、大津地裁であり、原告の1人が「一方的な引き下げは理不尽だ」と訴えた。12月15日の次回口頭弁論で結審する。

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 国は2013年に保護基準を引き下げる改定を行い、15年までに3回に分けて生活扶助費が減額された。原告らは、国が改定の根拠としたデータや物価変動の算定方法の選択が恣意(しい)的だと主張。国は、改定は裁量の範囲内として争っている。

 本人尋問では、大津市の男性(82)が証言。24年前、胃潰瘍で入院したこを機に生活保護を受けるようになり、13年8月に月額1350円、15年4月に月額1400円減額された。現在は別の病気の影響もあって1日2食のおかゆのみで、故障したエアコンや冷蔵庫の修理もできない。旅費が捻出できず、親戚の葬式にも参列できなかったと述べ、「貯蓄できるような最低限度の支給額にしてほしい」と訴えた。

 同様の訴訟は29都道府県で起こされ、大阪、熊本、東京の3地裁は生活保護法に反するとして処分を取り消している。大津地裁には大津市のほか草津市、守山市の計13人が提訴し、これまでに3人が亡くなった。