0001それでも動く名無し
2022/10/03(月) 10:45:52.03ID:G5o32V/+02022年9月26日に、科学誌・Natureが室温超伝導に関する2020年の論文を撤回しました。実現すれば浮かぶ自動車やリニアモーターカー、小型で安価な量子コンピューターなどさまざまな新技術に発展し、人類に産業革命をも超えるインパクトをもたらすと期待されていた室温超伝導の研究が否定された経緯について、アメリカ科学振興協会がまとめています。
物質の電気抵抗がゼロになる超伝導は、発見当初は絶対零度に近い温度でしか実現できない現象でした。しかし、アメリカ・ロチェスター大学のランガ・ディアス氏らの研究チームは2020年10月の論文で、水素を豊富に含む水素化物に地球の中心部に近い高圧力をかけることで、超伝導が起きる温度を15度という室温にまで引き上げることに成功したことを報告しました。
しかし、Natureは9月26日にディアス氏らの論文を撤回しました。9人いる論文の著者全員の反対を押し切って論文が撤回されるのは、異例のことだとされています。
ディアス氏らは、記録されたデータからバックグラウンドの磁気信号を差し引いた結果、超伝導が起きたとされる磁化率の信号が現れたと報告しましたが、論文に生データは含まれていませんでした。この点は、実際に測定された値ではなく想定値を用いた「お手盛りの計算結果」だとして、批判者からの非難を受けることになります。しかし、サラマット氏は「高圧物理学では、バックグラウンドの信号の測定が非常に困難であるため、想定値を用いるのが通例」と反論しています。
データが欠如しているという批判を受けて、ディアス氏とサラマット氏は2021年に、プレプリントサーバーのarXivで磁化率の生データやバックグラウンドの信号をどのように差し引いたかを説明する論文を発表しました。しかし、コーネル大学の物理学者であるブラッド・ラムショー氏は「この論文は答えよりも多くの疑問を投げかけるものでした。生データから研究結果のデータに至る過程が、信じられないほど不透明だったのです」と述べています。
また、再現性にも疑いの目が向けられています。2015年の研究で高温超伝導を報告したエレメット氏は、ディアス氏らが研究で作成した「炭素質水素化硫黄」の再現を行おうとしましたが、6回とも失敗したとのこと。エレメット氏は、「ディアス氏らは実験プロトコルの基本的なことは教えてくれましたが、炭素質水素化硫黄の作成にどのような種類の炭素を使ったかなどの細かい点はあまり教えてくれませんでした」と述べています。
https://gigazine.net/news/20220928-room-temperature-superconductivity-study-retracted/