「研究なんかじゃ家族は養えない…トレーラー運転手になるか…」

大学院にも進み、光の伝わり方を制御できる「フォトニック結晶」を研究テーマに論文を書いて、修士号を得た。

大学院を出ると、宮城県にある財団法人の研究機関に職を得た。働きながら論文を書いて、博士号も取りたいな。科学者への道は前途洋々――かと思われた。

研究者としては「食べていけない」現実
しかし、初任給を受け取った佐藤さんは目を疑う。

「え、手取りが15万円?」
就職した前の年、中学の同級生だった妻・裕子さんとの間に長女が生まれていた。

学生時代、車好きが高じてアルバイトとしてトレーラーの運転手をやっていた。大型免許とけん引免許は持っている。現実を受け入れよう。
2013年の春、研究者の道に見切りをつけ、運送会社に就職した。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/lifestyle/2022/10/17-33_1.php