俺すっとパソコンが欲しかったんです。
でもずっと言い出せずにいたんです。

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でもなんかイライラの勢いに任せて、
「パソコンがほしいです。ネット回線の工事の時は外に出ています。」的な書き置きを、
台所のテーブルの上に置いたんです。

それで、えっとー、その書き置きをしたのは静江さんが寝ている9時半前後なんだけど、
俺が家にいると、その書き置きを読んだ静江さんが俺に話しかけてくる恐れがあるから、
静江さんが仕事に行く13時過ぎまで、外に出ていました。

それで、静江さんが仕事に行ったであろう時間に家に戻り、
俺が書き置きを置いた台所のテーブルを見るとそこには、
妙に丁寧な言葉で書かれた「分かりました。」という内容の書き置きがあったんです。

それから数日後くらいに、静江さんがまた台所のテーブルに書き置きをしました。
その書き置きの正確な内容は覚えていないけれど、
パソコンが届く日とその日に業者が来る事が、やっぱり妙に大寧な言葉で書かれていました。

俺は、妙に丁寧な言葉で書かれていた書き置きに、寂しさと女を感じたのを覚えています。

パソコンが届く日が来て、俺は業者が家に来る時間になる前に家を出ました。
そして静江さんが駅の清掃の仕事に出かける13時過ぎの時間に家に戻り部屋のドアを開けると、
こたつテーブルの上にワインレッド色のノートパソコンがありました。

俺はデスクトップのパソコンを想像していたので、「何だノートパソコンか・・・」と少しがっかりしました。
パソコンの種類はTOSHIBAのコスミオで、ネット回線はイーモバイルでした。